コロナ禍による失業
2020年ももう9月に入りました。3月の初め以来、アメリカでコロナ(COVID19)がはやり始めてから半年が過ぎましたが、まだ各地で感染の広がりが抑えられていません。
感染者数、重症者数、死亡者数の増加がいくらか緩やかになってきた地域もありますが、学校が再開したため特に大学生の間での感染が再び広がりつつあります。
先日発表されたアメリカの8月の失業率は8.4%で, 3月以来初めて10%をきりました。しかし、過去10年間の失業率と比べるとまだ高いレベルとなっています。雇用が幾分回復したものの、元の職場に完全復帰できていない人や、新しい職がまだ見つかってない人の数はまだ高いままです。
今日は、主にコロナ禍で仕事が一時帰休になったり、労働時間が削減されたり、失業したため健康保険を失った場合、どのような対策があるのか、それぞれのオプションとコスト面についてお話していきたいと思います。
コロナ禍による失業で健康保険を失ったら
解雇や退職で仕事を失うと、会社を通して加入していた健康保険を失います。
今年3月以来のコロナ禍による経済自粛が理由で、一時帰休になったり、労働時間が減ったたりした場合も同様に、雇用主の健康保険に加入できなくなり、自分自身で健康保険に加入しなければなりません。
そういう場合、主に次の4つのオプションから健康保険を取得することができます。
2.元の雇用先を通してCOBRAに加入 (高コスト)
3. Federal Exchange を通して加入(Affordable Care Act/オバマケア)(2と3の間)
4.Short term healthcare plan (低コスト)
これらのオプションは、コロナ禍以外の理由での退職、失業でも使えますが、コロナ禍による経済自粛の影響による失業の場合は、加入に関していくつかの特別措置があるようです。
それぞれの特徴、コスト面などを解説していきましょう。
配偶者の健康保険に加入
仕事を解雇されたり、退職したために健康保険を失った場合、可能であれば配偶者の保険に加入するのが一番良い方法です。
仕事を失った場合は、ライフ イベント(Qualified Life Events)という扱いで、毎年の加入期間以外でも健康保険への加入やカバレッジの変更ができます。
配偶者が会社を通して健康保険を持っている場合は、ぜひこのオプションを利用しましょう。
元の雇用先を通してCOBRAに加入
COBRA とは、the Consolidated Omnibus Budget Reconciliation Actの略で、雇用主が離職した社員に対して引き続き同じ健康保険を使えるようにするための法律です。退職の理由は、自主退職(Voluntary separation)、解雇(Layoff、Involuntary separation)、一時帰休(Furlough)、労働時間の削減などが当てはまります。
COBRAを通しての健康保険は、その社員の状況に応じて18カ月から36カ月の間継続できますが、退職前に支払っていた保険料よりも高くなる場合がほとんどです。雇用主が社員の保険料の一部を負担している場合は、退職した社員は会社が負担していた分も払わなくてはならないからです。
例えば毎月の保険料が$1,000だったします。会社が50%である$500を負担しているなら社員の負担は月$500で済みます。しかし退職した社員は、COBRA では保険料の全額である$1,000を自己負担することになります。また事務手数料として、2%が保険料に上乗せされるので$1,000の保険料に加えて$20が加算され、トータルで毎月$1,020の支払いとなります。
COBRAに加入している間にメディケアに加入できる年齢(65歳)になると、会社はCOBRAの健康保険をキャンセルすることができます。また自分自身で、いつでもCOBRAをやめることができます。
解雇や自主退職などで会社を辞めた場合は、最長18カ月までCOBRAが使えます。会社を辞めた後は、60日以内にCOBRAに加入するかどうかを決める必要があります。60日以内なら、一度加入するかどうかを決めた後でも変更することができます。
COBRAへの加入を決めた後は、45日以内に保険料を支払うことになります。また保険代は必ず締め切りまでに支払わなくてはなりません。遅れた場合は、保険が一時保留にされたり、キャンセルされたりするので注意してください。
HSA(Health Savings Account) に資金がある場合は、そこからCOBRAの保険代を支払うこともできまるので活用しましょう。
COBRA使う際の欠点は:
- コストが高い。
- 加入期間に制限がある。(18カ月か36カ月)
- 退職や解雇の場合は18か月間
- 雇用主による変更などで保険の内容が変わったり、保険自体がキャンセルされる可能性がある。
Federal Exchange を通して加入
2020年のコロナ禍による経済自粛で職を失った場合は、60日以内の特別登録期間中(Special Enrollment Period)にFederal Exchangeで健康保険に加入することができます。こちらにコロナ禍により健康保険を失った場合の、加入に関する説明が記載されています。コストはCOBRAよりも低く設定されているようです。
Federal Exchange(The Marketplace)は、2010年にオバマケアとして立法された”Patient Protection and Affordable CARE Act”の一部です。The Marketplaceは、雇用先を通しての健康保険がない人が何らかの健康保険を取得できるように作られた制度です。また、メディケア、メディケイド、CHIP(The Children’s Health Insurance Program)がない人も利用できます。
下記の州にお住まいの方は、それぞれの州のサイトから加入の申請ができます。その他の州は、政府のサイトから加入手続きができます。
- California
- Colorado
- Connecticut
- District of Columbia
- Idaho
- Maryland
- Massachusetts
- Minnesota
- Nevada
- New York
- Rhode Island
- Vermont
- Washington
Federal Exchangeを通しての健康保険は、たとえCOBRAで保険を続けられるオプションがあっても使うことができます。職を失った後60日以内が特別加入期間になるので、その間に手続きをする必要があります。
またCOBRAに加入した後、COBRAのコストが大幅に上がり支払えなくなった場合もFederal Exchangeを通しての保険に変えることができるようです。
Short Term Healthcare Plan
4つ目のオプションとして、Short Term Healthcare Planに加入するという方法があります。
このプランは、最初は期間が3カ月限定だったのですが、2018年に364日間までに引き上げられました。
この短期の健康保険は、Federal Exchangeでオバマケアに加入できなかった人や、仕事を辞め次の新しい職場での健康保険が始まるまでのブリッジとして使いたい人のために用意されたものです。
主に次に当てはまる人が利用できます
- 新規登録期間や特別登録期間中にオバマケア(Affordable Care Act)に加入できなかった人
- オバマケアが始まるまでのブリッジとして使う人
- 解雇や退職などで健康保険を失ったが、保険料が高いCOBRAに加入できない人
- メディケアが始まるまでのブリッジとして使う人 (メディケアは65歳から)
- 26歳になり保護者の保険が使えなくなる人
- 仕事を辞め、新しい職場での健康保険が始まるまでのブリッジとして使う人
- オバマケアでの健康保険料が高いため支払えない人
コスト的には、配偶者の保険に加入する以外では、このオプションが一番安く健康保険を得る手段といえます。

まとめ
失業した場合に検討する価値のある4つのオプションについて解説してみました。
コストの安い順に並べると…
1.配偶者の保険に入る
2.Short Term Healthcare Plan で予算にあった保険のプランを選ぶ。(3カ月から最長364日まで)
3.Federal Exchange (The Marketplace/オバマケア)で保険に加入する
4.元雇用先のCOBRAに入る。(最長18カ月まで)
もしも現在健康で、近い将来(2-3カ月)仕事に復帰するか、再就職する可能性が高い場合は、コストが安いShort Term Healthcare Planでも十分かもしれません。
しかし、現在通っている医者に引き続き見てもらいたい、または同じ保険のカバレッジを維持したいという場合は、コストが高くてもCOBRAを選んだ方が安心感を得られるかもしれません。
どのオプションを選ぶにしても、毎月の保険料、保険のカバレッジのレベル、Copay の有無、Copayはいくらになるのか、行きつけの医者がカバーされているかなど、詳しく調べたうえで加入されることをお勧めします。

健康保険は個人の状況によって、必ずしもコストが安ければいいというものではありません。いろんなオプションをしっかりと調べて、自分自身に一番あったものをお選びください!
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